ある4:これから何をしたら良いのか?


認知症は治らないという事実

夫や友人の有難い言葉に救われながら、私は認知症の進行を止める方法ないのかと、悶々としていました。

母の認知症について一番ショックだった事は、年齢が72才だったという事です。

自分の親が老いていく姿を想像した時、80才を超えればそんな事もあり得るだろうという勝手な思いがあったのです。

そのため、72才になったばかりで認知症と診断された事が、とても早すぎるという衝撃でした。

 本を読んだり、インターネットで調べてみたり色々としてみました。

しかし、すればするほど認知症は治らないという現実を実感することになりました。

何か一つぐらい進行が止まる治療法があるのでは・・・という淡い期待は無くなりました。



進行を遅らせることは出来る~これしかない

しかし、認知症は治らないが進行を遅らせる事が出来る、という情報に大きく期待をしいくつかの方法を試してみました。 

NPO法人認知症予防ネットの高林理事長が推奨している「スリーA」という認知症予防教室があります。そのスリーAで行っている「認知症予防ゲーム」が効果を上げているようで、地域によってはデイサービスに取り入れている施設があると聞きました。

残念ながら母の居住地域では行っているところがなかったので、テキストだけを購入し読んでみると、内容は私に明るい希望を持たせてくれるものでした。

認知症治療には「早期発見」「早期対応」の大切さが書かれており、薄紙を一枚一枚重ねるような努力が大切という事を教えてもらいました。

幸いにも母は早期発見でしたので、私に「あきらめてはいけない」という気持ちを持たせてくれたテキストでした。



あれこれ試してみたけれど・・・

では、自宅で一人で出来るものがないか・・・と探したところ、KUMONの認知症学習療法を知りました。

高齢者向けに作成された簡単な計算や国語の問題を毎日短時間続けることで、脳が活性化されるという療法だそうです。

早速、お試し教材を取寄せてみましたが、肝心の母は「なんでこんな子供みたいな事をやらねばならないのか?」と怒り出すハメに。

プライドの高い母は、プリントを数枚やったのみで継続しませんでした。

嫌なことを無理にさせるのは良くないと言われ、残念でしたが私もあきらめました。

 次に、母のプライドを刺激しない方法ということで、日記を勧めてみました。

その日にあったことを思い出して毎日記録する事が頭に良く、文字を書くことも大切なんだそうです。

すると母は「日記は今までず~っと書いてきたから、もう書きません」とキッパリ断りました。

昔は家計簿や日記をマメに書く人で、文章教室や短歌教室にも通い、投稿したコラムが新聞に掲載されることもありました。

従って日記ならばと説得してみましたが、頑なまでの拒絶、ついには怒り出すのでこれもあきらめました。

 何とかしたいという娘の思いと、自分の好きにしたい母との戦いでした。