ある9:大小さまざま~呼び寄せの苦労


予想もしない症状が母に現る!

引越し作業開始後に何が一番大変だったかと言えば、母の認知症状が予想しない形で現れたことです。

実家の荷物がどんどん整理されて行くうちに朝晩で気分のムラが激しくなり、「東京に早く行きたい!」と言ったかと思えば、「私は行きません!ここに1人で残ります!」と言い出すのでした。
私はあれほど来たがっていた東京に、まさか母が「行かない」と言い出すとは考えもせず動揺してしまいました。
実家の売却もすでに決まっており、「行かない」と今更言われてもどうしようもなく・・・気が気ではありませんでした。
結局、引越し当日まで「行きたい!」「行かない!」を延々と繰返した母でした。
いざ東京に行くとなると寂しさや不安がこみ上げて来たのでしょうが、その様な場合の対応の仕方など私もまだまだ理解していない事が沢山ありました。

実家とのお別れ~私自身もつらかった

実家を処分する寂しさや、親戚やお世話になった介護事業者さん達との別れなどは、私にとっても思った以上につらかったです。 

一連の作業を勢いで行ったので、それが功を奏した面も沢山ありました。

しかし、順調に進む作業に寂しい気持ちが追いついていかない感じもありました。

子供の頃から慣れ親しんだ物の処分など、仕方がないと分かっていてもつらいものがありました。

引越し当日、車窓から振り返って見た実家の姿は忘れません。

涙が止まらない私に対して、両親は案外さっぱりしていたのが印象的でした。

実家の処分は不動産業を営む友人が細部にわたり面倒を見てくれたお陰で、ご近所にも迷惑を掛けず「飛ぶ鳥跡を濁さず」で旅立つ事が出来ました。


高齢者という事情で大変だった事

 ①住居探し

多くの不動産会社は高齢者には賃貸マンションを貸してくれません。

電話で「高齢者」と話しただけで拒否される場合が多かったです。

何件か探して行く内に、某大手不動産会社は条件こそありましたが対応して下さいました。

条件としては、長男の兄が契約者になること、保証人は保証会社をつけること、近隣に子供が居住していることでした。

 

 ②東京での通院先(かかりつけ医)
母は引越し以前、大学病院で老年内科(認知症)と内科(糖尿病)、近所の整形外科(骨粗しょう症)、眼科(糖尿病の予備検診)、歯科(定期検診)に通っていました。
これらを診てもらう病院を東京で探し、紹介状を持って新たに通う手はずをつけることが大変でした。
なるべく自宅の近くが良いとか、認知症と糖尿病は同じ病院で診てもらいたい等の希望もあり病院探しはなかなか一苦労でした。
東京都の病院案内で紹介してもらう、ネットで調べる・・・あれこれしました。