ある8:一大決心~東京への呼び寄せ


背中を押した医師の一言

久しぶりに来た東京で発した母の一言で、東京に対する未練を感じました。

認知症により自分が発した言葉は忘れてしまっても、心の底にはその思いがあるんだと私は確信しました。

ただ、呼び寄せは逆に認知症を進行させてしまうケースも充分承知していたので、かかりつけの医師にまずは相談することにしました。

医師の回答はシンプルでした。

「東京に行くなら今です。今しかありません。かつ、お父さんも一緒なら。」

この医師の言葉が私の背中を大きく押すことになりました。

父が賛成すれば、私は両親の東京呼び寄せを実現したいと思いました。  



父と兄の意見

父の意見は「東京移住も仕方がないよね」という半ばあきらめでした。

東京生活に対する不安はないようで・・・マイペースな人です。

そんな父の唯一の希望は、面倒な事はやりたくないので、引越し作業などは業者に頼んでやってもらいたいとのことだけでした(苦笑)。

兄は「おまえのやりたいようにやれ」の一言でした。

さすがに兄も老老介護の両親にこれ以上知らん顔は出来ず、妹の提案に観念したようです。

ただ、「おまえのやりたいようにやれ」との言葉は「やりたいように全部やってくれ」という意味でもあり、本当に私一人が全部をやることになりました。

 

 



引越し準備の始まり

呼び寄せを決めたのが2018年1月、実際の引越しはGW後の5月中旬に決めました。

実家の処分もあるので、ゆっくり準備をしながら夏が過ぎた秋ぐらいでも・・・という考えもありました。

しかし、医師の「今しかない」という発言から不要に伸ばすのもどうなのかと思い、勢いでスタートさせました。

この先には想像しなかった大小さまざまな事が起きますが、良い意味であまり深く考えずに勢いでやってしまった事が良かった気がします。

永年住んだ土地を離れ、知らない土地での新生活をスタートさせるという事は、高齢者にはとても負担が大きい事です。

今思えば両親も東京へよく来たし、私もよく呼んだとつくづく思います。